心不全とは、体のそれぞれの組織が正常な働きを維持するために必要な血液の量を、心臓が供給できなくなった状態のことです。
発生原因としては、さまざまな心疾患(後天性弁膜症、心筋梗塞、心筋症、心筋炎、高血圧、先天性心疾患、心膜炎、心筋炎など)の病状が進行すると心不全がおこりやすくなります
誘因(安定していた状態が、急激に心機能が悪化して心不全をおこしやすくする条件)としては、年齢(高齢)や感染(呼吸器感染症、感染性心内膜炎、リウマチ熱など)、運動過多、精神的ストレス、貧血、妊娠、手術、過度な水分や食塩摂取、不整脈、肺栓塞などがあります。
心不全の病態による分類としては、左心不全、右心不全、両心不全に分けることができます。
左心不全の症状としては、呼吸困難や咳嗽、喀痰、血痰、喀血、疲れやすいなどがあります。
右心不全の症状は、浮腫、体重増加、尿量減少、肝腫大、食欲不振や悪心、嘔吐、上腹部不快感などの消火器症状などです。
心不全の治療(西洋医学)
心不全の一般的な治療としては、安静にすることが一番重要です。
安静にすることによって、心臓の負担を減らすことができます。
次に大事なのが、食事です。
心不全では、消化に関わる器官の血液循環も悪くなっているので、食事の量を減らし、消化の良いものをとるようにします。
食塩制限は、利尿剤を使い尿量が増加していれば、食塩制限は緩やかにします。(利尿薬使用中は、定期的に血清電解質濃度を測定します。)
心不全の薬物療法については、主に利尿薬やジギタリス製剤、血管拡張剤で治療します。
利尿薬は、過剰な水分やNaを排泄することによって心不全を治療します。
ジギタリス製剤は、心筋収縮力増強、興奮伝導抑制、迷走神経緊張などの薬効をもちます。
ジギタリスは有効治療域が狭いため、投与中は中毒の発生に注意します。
中毒の症状としては、消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛など)や、不整脈、頭痛や耳鳴り、資格異常、抑うつ症状などがあります。
血管拡張剤は、末梢細小動脈や静脈系を拡張することよって、心臓への負担を減らします。
心不全の漢方薬
心不全の治療の漢方としては、まずはそれぞれの方の体質や基礎疾患を考慮して選ぶ必要があります。
その上で、血液のめぐりをよくしたり、水分代謝をよくしたり、心臓の機能を高めたりする漢方薬で治療します。
血液の巡りを良くするの漢方薬としては、冠元顆粒や通導散、桂枝茯苓丸、血府逐お丸などがあります。使用する場合は、少量から始めたり、気虚の方には補気の漢方薬(例:補中益気湯など)を併用したりします。
水分代謝をよくして心不全の治療に使う漢方薬としては、木防已湯(防已、石膏、桂枝、人参)などがあります。
その他に使う漢方薬としては、八味地黄丸や苓桂朮甘湯、炙甘草湯、生脈散などがあります。
ただ、漢方での心不全の治療は、軽症の場合は漢方単独でもうまくいく場合があると思いますが、ジギタリス製剤や血管拡張剤、利尿剤など西洋医学の治療と併用して行なっていく必要があります。
※漢方薬を服用する場合は、漢方の専門家にご相談の上で服用してください。