不妊の体質と、改善のための漢方

不妊の体質、それぞれの特徴と漢方での改善法

二人目不妊の漢方薬

なかなか妊娠できない人は、まずは自分の体質を改善することを、考えてみても良いかもしれません。

 

不妊の体質は、漢方では以下のものがあると考えています。

 

1.ホルモンの分泌や、生殖能力が衰えている『腎虚』
2.元気と血が不足している『気血両虚』
3.ストレスで気の巡りが悪くなっている『肝気鬱結』
4.体に老廃物がたまっている『痰湿』
5.血流がわるくなっている『瘀血』

 

以下に、それぞれの体質の特徴や、その改善のための漢方薬についてまとめてありますので、自分に当てはまる体質がありましたら、参考にしてみてください。

 

 

腎虚の不妊

不妊症の方で一番多い体質としては、「腎虚」があります。
これは、男女一緒です。

 

漢方で言う「腎」とは、一般的な腎臓の働きだけでなく、ホルモンの分泌や、生殖能力・老化などにも関係していると考えています。

 

腎の働きは年齢と共に弱ってきますので(腎虚)、不妊症の方にとって、腎を強化する(補腎)ことは、とても重要になってきます。

 

腎虚には大きく分けて、体を温める力も弱った「腎陽虚」と、体を潤す力が弱った「腎陰虚」のふたつがあります。

 

良くある症状

女性では、経血量が少なくなったり、周期が一定しない、無月経・・などがあります。

 

腎陽虚ではそれに加えて、冷えや多尿、浮腫みなどを伴うことがあります。
腎陰虚では、乾燥や火照りなどの症状を伴うことがあります。

 

男性では、性欲の減退や精液が少なくなったりします。

 

腎虚の漢方

その方の体質にあった腎を強める漢方薬(補腎薬)を使います。

 

一般的な漢方薬の例としては、
腎陽虚の人には、海馬補腎丸や至宝三鞭丸、参茸補血丸、参馬補腎丸、八味地黄丸などを、腎陰虚の人には、杞菊地黄丸や六味丸、亀鹿仙などがあります。

 

食養生

オススメの食材には、
山芋、枸杞の実、クルミ、銀杏、蓮の実、黒豆、黒ゴマなどがあります。

 

 

気血両虚の不妊

 

気とは体のエネルギー、血とは血液のことで体の各細胞に栄養を与えています。
気と血は、相互に密接な関係にあリますので、気の機能が失調すると、血にも影響がでてきます。その反対もあります。
気血両虚とは、その気と血の両方が不足した状態になります。

 

症状としては

疲れやすい、皮膚や顔に艶がない、爪がもろい、目のかすみ等があります。

 

女性では、生理周期が長くなったり、経血量が少なくなったりします。
男性では、精子の運動率や量が少なくなります。

 

気血両虚の漢方

このような方には、気血の両方を補う作用のある漢方薬をお飲みいただきます。

 

よく使う漢方としては、
十全大補湯、人参養栄湯、帰脾湯、加味帰脾湯などがあります。

 

 

肝気鬱結の不妊

 

「肝気鬱結 」の 「肝 」とは、血液を貯蔵する働きと、 「肝(きも)を冷やす 」、 「肝が小さい 」、と言う様に精神精神活動を調節する働きを持っています。

 

「気 」とは体のエネルギーの事です。

 

肝がストレスのような精神的ダメージを受けると、気の巡りが悪くなった 「肝気鬱結 」という状態になります。

 

気の巡りが悪くなると、ホルモンバランスが乱れたり、体の各細胞に栄養を与えている「血」の流れが悪くなって、子宮に栄養がじゅうぶんに行き渡らなくなってしまいます。

 

症状としては

ゆううつ感やイライラ、怒りっぽい、寝つきが悪い・・があります。
女性では、生理周期がバラバラだったり、PMSの症状があったりします。

 

肝気鬱結の漢方薬

このような方には、肝気の流れを良くする作用のある漢方薬を使います。

 

漢方薬としては
四逆散、逍遥散、加味逍遥散、柴胡桂枝湯があります。

 

 

痰湿の不妊

 

痰湿とは、水分代謝が悪くなっているために、体に老廃物がたまっている状態です。多嚢胞卵巣の人に多い体質でもあります。

 

原因としては、体の臓腑の中の水分代謝に関係している「脾(胃腸系)」や「肺」、「腎」の機能のバランスが崩れたりすくことによっておこります。

 

症状としては

体が重だるい、むくみ、肥満、めまい、ニキビや吹き出物、吐き気、軟便・・があります。

 

女性では、生理周期が長くなったり、経血量が少なくなったりすることがあります。また、痰湿体質の人に多い多嚢胞卵巣症候群では、排卵がしにくくなってしまいます。

 

痰湿の漢方

このような方には、痰湿をのぞき痰湿ができる原因を改善する漢方薬を使います。

 

良く使う漢方薬としては、
ニ陳湯、平胃散、 カッコウ正気散、温胆湯、茵チン蒿湯、半夏厚朴湯があり、それぞれの方の体質面を考慮して使用します。

 

日常生活の注意点

水分の取りすぎに注意することと、入浴や運動などでなるべく汗をかくようにしましょう。

 

 

瘀血(おけつ)の不妊

 

「瘀血」とは、血液の流れが悪くなり、滞っている状態です。血液の流れが悪くなると、子宮や卵巣に栄養が十分行き渡らなくなり、妊娠しにくくなってしまいます。

 

ただ、瘀血は二次的なもので、それをひこおこす根本的な原因は、以下のものが考えられます。

 

1.体の中を流れる血液の量が少ない「血虚」に伴う瘀血
2.冷え(寒邪)によって血液の巡りが悪くなって起こる瘀血、
3.血液を流すエネルギー(気)が弱った「気虚」によるもの
4.ストレスなどで気がスムーズに流れが「気滞」によるもの

 

などさまざまな原因で瘀血はおこります。

 

良くある症状

頭痛や目の下のくま、肩こり、手足のしびれ、シミやそばかす、動悸、血圧の異常などがあります。

 

それ以外に女性では、生理痛や生理周期の延長、無月経などがあります。

 

瘀血の漢方薬

このような方には、血液の流れを良くする漢方薬を使います。それと合わせて、瘀血を引き起こしている根本的な原因を改善する漢方薬と一緒に使っていきます。

 

血流を良くする漢方薬の例としては、
桂枝茯苓丸、桃核承気湯、通導散、冠元顆粒、血府逐瘀丸などがあります。

 

 

 

まとめ

良くある不妊の体質や、その改善のための漢方薬をご紹介させていただきました。
妊娠を希望されている方で、漢方治療を取り入れてみようと思っている方は参考にしてみてください。

 

ただ、自分の体質がよくわからない方や、より自分に合ったオーダーメードの漢方薬をご希望の方は、まずは無料漢方相談をご利用ください。

 

 

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